謎多き絵画パブロ・ピカソ作「ゲルニカ」



今回は、ピカソの描いてきた作品の中でも特に有名な『ゲルニカ』についてのおはなしです。

『ゲルニカ』

画像元:https://www.wikidata.org/wiki/Q175036

スペインの画家

パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ファン・ネポムセーノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピニアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ

画像元:https://ja.wikipedia.org/wiki/パブロ・ピカソ

が、スペイン内戦中の1937年に描いた絵画作品であり、それと同じ絵柄で作られた壁画でもあります。

ビスカヤ県のゲルニカがドイツ空軍のコンドル軍団によって受けた無差別爆撃(ゲルニカ爆撃)がテーマになっています。

20世紀を象徴する絵画であるとされており、作品の製作過程に関して完全に記録されている絵画であるとされています。

発表した当時の評価はそこまで高くありませんでしたが、次第に反戦や抵抗のシンボルとなりました。

ピカソの死後、保管場所をめぐる論争が繰り広げられるほど、評価は高くなっていました。

全体の解釈として、ピカソ自身は1940年代初めに、「牡牛は牡牛だ。馬は馬だ。大衆、観客は、馬と牡牛を自分で解釈できるシンボルとして見ようとしている」と述べました。

しかし、1945年には画商のジェローム・セックラーに対し

「牡牛はファシズムではなく、残忍性と暗黒である。・・・馬は人民を表す・・・『ゲルニカ』の壁画は象徴的、寓意的なものである。だから、わたしは馬や牡牛やその他を使ったのだ」

と述べたそうです。

ピカソは動物たちの象徴性だけは認めました。しかし、その他については多くを語らず、また、政治的な意味合いが強いものが多いピカソ作品ですが、

この作品に関しては具体的な意味などを説明することなくこの世を去りました。

現代絵画において、この絵画ほど様々な解釈が示された絵画は稀であるといわれています。

個々の要素が善悪のどちらを表しているのかを判断するのは非常に困難で、特にこの作品に描かれている牡牛は善悪それぞれに解釈されてきました。

ギリシア神話の怪物であるミーノータウロスは暴力、好色、平和など様々な象徴であり、ピカソは1935年から1937年にかけてミーノータウロスを集中的に繰り返し描いています。

ピカソは大の闘牛好きだったことでも知られています。そのことから、牡牛をスペインの象徴とする解釈もあり、災厄から遠ざかろうとするピカソ自身であるとする解釈もあります。

芸術心理学者のルドルフ・アルンハイムは、牡牛の体の向きの変更を「真に天才的な発明」とし、苦悩や悲嘆を画面の外に伝える役割を持っているとみなしました。

左下で倒れている人は、ピカソ本人だとも言われています。具体的な意味合いは説明されていないので、確かなものかどうかはわかりません。

内部に電球が描かれた光源は神の眼、すべてを明るみに出す証人であるとされています。

また、光源の内部には現代を意識させる唯一の要素である電球が描かれています。

これは、現代のテクノロジーと爆撃の惨劇の関連を示唆している可能性があります。

このように『ゲルニカ』は作品の意味するものはほとんど説明されていないことから、様々な人が様々な解釈を行い、非常に興味深い作品です。

作品の真実は謎のままですが、未だに人気は衰えず、これからも次の世代へと語り継がれていく作品となるでしょう。