実は未完成だった!?『アダムの創造』人間の脳や映画「E.T.」などこの作品に隠された謎に迫る!

今回はイタリアルネサンス期の芸術家ミケランジェロ・ブオナローティが描いた有名な作品『アダムの創造』について解説していきます。

かなり有名な作品で、誰もが知る”天才芸術家”ミケランジェロによる力作です。

SF映画界の巨匠スティーブン・スピルバーグ監督の映画『E.T.』で、少年と宇宙人であるETが指を合わせるあの有名なワンシーンもこの作品をモチーフにしたと言われています。

様々な人がこの作品からインスピレーションを得ているほど有名で、非常に興味深い作品になっています。

あなたも知らないと恥ずかしいカモ….?

 

作品について

『アダムの創造』

画像元:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アダムの創造

『アダムの創造』は、「システィーナ礼拝堂」の”天井画”として描かれている作品です。

描かれた当時から約500年の時が経っています。

しかし、今も変わらずに現物を観ることができます。

 

この作品は「フレスコ画法」で描かれています。

砂と石灰を合わせたものである「漆喰」を壁に塗っており、水で溶いた顔料を使って描かれています。

「フレスコ」とはイタリア語で”新鮮さ”を意味します。

塗られた壁が乾かない新鮮な内に、新鮮な水で溶いた顔料で描く必要があり、1日分の作業量を念密に計算しないといけませんでした。

 

また、システィーナ礼拝堂内の壁面にはミケランジェロの『最後の審判』が描かれています。

 

ミケランジェロ『最後の審判』についてはこちら↓

隠された意味があった!? ミケランジェロの『最後の審判』

11/16/2018

 

 

解説

この作品は『創世記(旧約聖書)』の一節を描いています。

『アダムの創造』とは、その創世記の第1章27節の部分にあたります。

具体的には神がアダムに命を吹き込む場面と言われています。

 

神は白い衣服を身にまとう白い髭を生やした老人として描かれ、画面左側下部に描かれたアダムはほぼ裸身で描かれています。

指先からアダムに生命を授けるために神の右腕は伸ばされ、神の似姿で創られたアダムの左腕も同じように伸ばされていることがわかりますね。

アダムの指先と神の指先は触れ合ってはおらず、生命の与え手たる神がアダムに生命を吹き込もうとする、まさにその瞬間を描いたのです。

 

この作品を見たときに真っ先に目に入るのはやはり真ん中の2人ですよね。

印象的なこの神とアダムの構図をさらに引き立てているのが”四つの角”に描かれている人物たちです。

 

雰囲気がアダムと似ていたため、彼の喜怒哀楽が表されているのではと考えましたが髪の毛の長さ、色、種類が違うことに気がつきます。

この四角にいる人物たちには色々な説があるようで、まだ明確にはなっていません。

 

 

【補足情報】

作中のアダムは非常に筋肉質の男性として描かれていますが、その割には、男性性器がかなり小さく描かれています。

これは「禁断の果実」を食べる前の場面なので、”性欲”が存在しない証を表現しているのでしょう。

ミケランジェロが意図的にアダムの男性器を小さく描いた可能性があると言われています。

 

 

人間の脳が描かれている?

アダムに命を吹き込もうと手を伸ばしている中央の赤いマントをまとう神をよく見てください。

その部分をよく見ると横から見た「人間の脳」に見えませんか?

言われてみるとそのように見える気がしませんか?

 

ミケランジェロは彫刻家であり、解剖学の研究をしていたと言われています。

実際に、ミケランジェロ自身が死者の解剖に立ち会うこともあったという記述が残っています。

このことからミケランジェロは作品の中で、神がアダムに”命”を与えようとした場面で命とも捉えられる”脳”を描いたとのでは?とも言われています。

 

 

イエス・キリストが描かれている?

先述した脳に見える赤いマントをまとっている神をよく見てください。

その神の左手をしっかり掴んでいる男の子がいます。

他にもその神の周りには子供が描かれていますが、左手を掴んでいるこの男の子だけは、凛々しく、しっかりと目線をアダムに向けているように描かれています。

実は、この男の子は神の子”イエス”だと言われています。

 

 

権力に対する抵抗心?

この作品には、”権力への抵抗”を表している可能性があると言われています。

作品をよく見ると、不謹慎と言われるほど男女の裸体が描かれています。

男女両方とも胸や尻の露出が多く、その上天使や聖人たちまでが露出して描かれているのです。

これらのことは「背信行為」と捉えられてもおかしくない行為でした。

 

これは、ミケランジェロ自身が古代ギリシャの「プラトンの哲学」などに影響を受けており、キリスト教徒でありながら、当時のヨーロッパ大半の”絶対的思想”として君臨していたローマ・カトリック教会に対して疑問を持っていたのではないか?

またその可能性があると言われています。

 

 

実は未完成!? その真相とは?

この作品についてミケランジェロは、「思い通りにはできあがらなかった」と周囲に漏らしていました。

その理由として、作品の依頼をした法王「ユリウス2世」が「早く完成させなければハシゴから突き落とす」とミケランジェロを脅していたのです。

 

しかし、そこには”嫌がらせ”があったようです。

その裏では友人だった建築家ドナート・ブラマンテという人物が絡んでいました。

 

当時、ミケランジェロは法王ユリウス2世に気に入られていました。

しかし、それを良く思わなかったドナートによる”嫉妬”が原因の1つと言われています。

ミケランジェロの苦手分野だと思われていた絵画を描かせ、失敗させて汚名をきせようとしたのです。

 

実際、彫刻が本業だったミケランジェロはこの依頼を拒否していたそうです。

法王も法王で絵画が欲しかったため、ドナートの陰謀とは知らずに乗せられてミケランジェロに依頼していました。

しかし、ミケランジェロは『アダムの創造』を描き、ドナートによる陰謀を見事に打ち負かしました。

 

 

結局、「法王ユリウス2世による脅し」によってミケランジェロが満足できるような作品には至らなかったと言います。

しかし、逆に法王に脅されていなかったらこの作品はできていませんでした。

また、依頼されつつも脅されていなかったらもっと素晴らしい作品になっていたのかもしれませんね。

 

「ミケランジェロの才能」「法王ユリウス2世の脅し」があった故の作品の良さというものが今、そして後世へ影響し続けているともいえますね。

 

 

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