芥川賞受賞小説「火花」ネタバレ・あらすじ解説!

 

 

2015年、第153回芥川賞に選ばれた、芸人「ピース」又吉直樹作の小説『火花』

今回は、小説『火花』のあらすじと内容を起承転結に分けて紹介していきます。

 

 

登場人物

徳永

本作の主人公。売れない芸人で、お笑いコンビ「スパークス」のメンバー。熱海の花火大会で神谷と出会い、神谷を師と仰いでいる。

 

神谷

大林とお笑いコンビ「あほんだら」を組んでいる。他とは違う常軌を逸した発想の持ち主。多額の借金を抱えている。

 

山下

徳永とお笑いコンビ「スパークス」を組んでいる。同棲相手の妊娠をキッカケに、芸人から足を洗う。

 

大林

神谷とお笑いコンビ「あほんだら」を組んでいる。相方神谷の借金を心配している。

 

真樹

神谷と交際はしていないが、神谷を部屋に住まわせている女性。

 

 

あらすじ

売れない芸人でお笑いコンビ「スパークス」の徳永は、熱海の営業で4歳上の先輩芸人神谷と出会います。

徳永は、神谷の自分には無い”常識破りな笑いのセンス”に惹かれ、憧れます。

神谷も徳永を気に入り、芸人の仕事の合間にも共に過ごすことも増え、親交を深めていきます。

ところが、彼らは互いに様々な壁に直面し、別々の道を歩むことになります。

やがて再会を果たす2人でしたが…..。

この作品は、複雑な人間模様を描いており、”笑い”とは何なのか、”人間”とは一体何なのか、そういったことを問いかけている作品です。

 

 

内容

「2人の出会い」
 
 

熱海の花火大会での営業で、 若手の芸人達が皆漫才を披露しています。

主人公の徳永もその若手芸人達のうちの1人です。 しかし、花火を観に来た人々は誰も徳永たちの漫才に見向きもしませんでした。

そんな状況下で、自暴自棄になりながらも徳永たちは最後まで漫才をやりきります。

その後、徳永たちの次に舞台に出てきた男が怒りの表情のまま漫才を始めました。

その男は、漫才の最中花火を見に来た人々を1人1人を指差しながら「天国に行くか地獄に行くか分かる。地獄、地獄、地獄」と叫びました。

その男の漫才に、主催者は当たり前のように怒っていました。

しかし、徳永にとってその常識にとらわれない”笑い”は惹かれるものがありました。

営業後、男と徳永は飲みに行くことになり、そこで男はお笑いコンビ「あほんだら」の神谷だと名乗ります。

徳永は神谷の常識破りな笑いのセンスに惹かれ、彼を師と仰ぎ、飲んでいる最中に弟子入りを志願します。

すると、神谷は「俺の伝記を書いて欲しい」と徳永に提案します。

徳永は今ままで伝記を書いたこともなければ、読む習慣すらありませんでした。

それでも徳永は、神谷の言動をノートに記録していくことを始めるのでした。

 

「徳永と神谷の交流」
 
 

若手芸人達には、小さな劇場で”ネタ見せ”と呼ばれるオーディションが定期的に行われています。

神谷との出会いから1年が経ちますが、スパークスは未だブレイクしていませんでした。

それでも、劇場で名前を覚えてもらったり、お笑いの雑誌で小さく取り上げられたり、徐々に成果をあげていきます。

そんな頃、神谷から連絡が来ます。

大阪の大手事務所に所属していた神谷が、徳永のいる東京に拠点を移そうと考えているという話でした。

神谷は真樹という女性の家で生活を始めます。

しかし、神谷と真樹は交際していませんでした。

神谷が徳永を連れてくると、真樹は快く出迎えてくれました。

3人で会う機会が増えて行く中で、徳永はいつの日か神谷と真樹は結婚するものだと感じていました。

しかしある日、真樹が神谷とは別の男と交際することになります。

真樹がいなくなってからも、徳永と神谷の2人の交流は続きます。
 
 

 

「別々の道」
 

徳永は、神谷の相方の大林から、神谷が多額の借金を抱えていることを知らされます。

相方の大林はそんな神谷を心配していました。

徳永が神谷と会った時は必ず神谷が奢っていた為、徳永もその事を気にかけ、徐々に疎遠になります。

その頃、徳永の仕事に転機が訪れます。

スパークスが出演していた漫才番組がたった1年で終了してしまったのです。

さらに、相方の山下から同棲していた女性が妊娠し、籍を入れたという報告を受け、これを機にコンビ解散を求められます。

家族の生活を支えるために芸人を辞める決意をした山下を、徳永は受け入れます。

スパークス最後の舞台は、観客達の大きな拍手を浴び、その幕を閉じます。

神谷もその舞台を見届け、号泣していました。

その後、徳永も芸人を辞め不動産屋に就職します。

そんな時に、神谷の相方である大林から「神谷の居場所を知らないか?」と連絡を受けます。

神谷は音信不通になっていました。

相方の大林は連絡が取れない神谷を心配していました。

徳永は、神谷が住んでいたアパートに向かいますが、すでに神谷はいなくなっていました。

 

「再会」
 

ある日、仕事を終え1人で飲んでいた徳永に、知らない番号から着信がありました。

1年ぶりに、神谷から連絡があったのです。

徳永は、神谷が飲んでいるという居酒屋へ急いで向かいます。

徳永が居酒屋に着くと、そこにはすでに酔って顔を赤くした神谷がいました。

この1年間一体何をしていたのかと徳永が尋ねると、神谷は自己破産してしまい、借金を返済する為にお金を作っていたと答えます。

神谷は音信不通だった為、事務所も解雇されていました。

飲みながら話をしている中で、徳永は神谷に対し何か違和感を感じます。

その違和感は、神谷の胸でした。

神谷は「男の胸が大きかったら面白い」と考え、豊胸手術を受けてFカップになっていました。

徳永はそれに対し「性同一性障害等で苦しむ人達は馬鹿にされているように感じるのではないか。馬鹿にするつもりがなくても世間に受け入れられない」と冷静に話します。

神谷は「徳永だけには笑って欲しかった」と言いながら、涙を流します。

徳永は、涙を流すそんな神谷に熱海へ温泉旅行に行かないかと誘います。

そこで宿泊した温泉旅館で、2人は素人参加型のお笑い大会のポスターを発見します。

2人は早速ネタ作りを始め、「とんでもない漫才を思いついた」と神谷が言います。

 

 

映画化

2017年11月23日公開の映画『火花』

板尾創路監督の元、主演菅田将暉、桐谷健太で実写映画化されました。

今回、ここで読んだ小説の内容を踏まえて1度映画の方も見てみてはいかがでしょうか。    

 

 

まとめ

この物語は、様々な困難を乗り越えて芸人として成功するといった話ではなく、登場人物の複雑な関係性や泥臭さ、人間味溢れる所に引き込まれていきます。

物語の主軸である徳永と神谷の2人には、お互いに違った魅力があります。

読んでいくうちにどんどん感情移入してしまい、話の展開にも臨場感があり、まるで自分が体験をしたかのような感覚になりました。

 

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