ヤバすぎる恋!太宰治の傑作『人間失格』あらすじや「映画」と「小説」の違いを徹底解説!

「恥の多い生涯を送ってきました。」

異質で衝撃的な一文から始まる太宰治の代表作であり遺作である小説『人間失格』

誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

 

この『人間失格』は、自分は人間として失格だと自覚する男が、自身の生涯を語る物語です。

自分は孤独なんだと思いながらも、人を愛し、理解しようとする心の揺れ動きを描いており、人間の心の奥深い部分に触れた内容となっており、衝撃だけでなく生々しさも感じられます。

小説『人間失格』は、1948年に太宰治が発表した作品です。

この小説は小説家である太宰治の代表作の1つで、またこの作品を書き上げた1ヶ月後に愛人である山崎富栄玉川上水で入水自殺をしたことから、彼の遺作ともいえます。

 

今回は、そんな太宰治の『人間失格』のあらすじや、映画と小説の違いについて解説していきます。

後半には映画の予告映像もあるのでそちらもチェックしてください!

 

 

あらすじ

本作は彼の幼少期、中学校、高校以降を3つの手記で構成されています。

 

書き出し(はしがき)は第3者による「葉蔵」(本作の主人公)の写真を見た印象の語りから始まります。

はしがき・あとがき以外の3つの手記は全て葉蔵の語りで

・自分がどのような人生を送ってきたのか

・どのように孤独を感じていたのか

・その孤独のために誰と付き合ってきたのか

を独白形式で綴られています。

 

 

 

第1の手記

本作の主人公「葉蔵」は幼い頃から、他人が何を感じているのかが全く理解できない子供でした。

他人の幸福と自分が感じる幸福は異なっていると感じていました。

 

他人の気持ちを理解できない葉蔵は、

「周りの人たちは何を考えて生きているのだろう?」

「自分とは大きく違うのだろうか?」

そう考えていると余計にわからなくなり、不安恐怖で発狂しそうになっていました。

 

そこで自分を”道化”として偽り、他人の目を気にしながら、常に笑って偽りの自分を演じることで、その不安や恐怖を隠そうとしました。

道化としておどけたりしていた結果、みんなからお茶目な子だと思われ、葉蔵の思惑通りになります。

 

しかし、全て演技だったことがバレると「怒られてしまう」と思い込んでいた葉蔵は、

下男や女中に性的な暴力を受けても「バレるくらいなら」と抵抗もせず、されるがままでいました。

 

結局、不安を拭えないまま

「どうしてみんな本当はお互い欺きあっているのに、表面上では明るく振舞っているのだろうか?」

「他人を理解できない自分は異端なのだろうか」

葉蔵はそう思いこんでしまい、ますます自分を孤独と感じながら、中学校へ上がります。

ここから第2の手記へ移ります。

 

 

解説:第1の手記

ここでは、他人の考えていることが理解できない子供だった葉蔵が、自分が他人とは違う感覚であることに強い”不安””恐怖”を感じていることが書かれています。

 

誰しも人生の過程で他人を理解できない時期があります。

しかし葉蔵はその”ズレ”を強く感じてしまい、その”ズレ”から生じる不安と恐怖を払拭するべく、

「道化」となり自分を偽りました。

 

これは、彼なりに大人や周りの人たちに近づこうとした努力でもあります。

しかし自分の感情が良くないものだと思い込んでいた葉蔵は、

自分の感情を悟られないよう、他人の目を気にすることで、他人の望む自分であろうとしていました。

 

偽り続けた結果、自分を表に出さない人格が出来上がっていたのです。

 

 

 

第2の手記

中学校に上がった葉蔵は、第1の手記であったように、中学でもお茶目な子を演じていました。

 

ある日、クラスメイトの「竹一」に、自分がわざと道化を演じていることを見抜かれます

偽りであったことを初めて見抜かれた葉蔵は、みんなにバラされるんじゃないかという不安を覚え、竹一と親友になろうと試みます。

 

2人が友人として付き合っていると、竹一は葉蔵に

「偉い画家になるだろう」

「女に惚れられる男になる」

という予言をしました。

 

竹一の予言を気に留め、彼は高等学校に進学します。

やがて画塾にも通うことになります。

 

そこで出会ったのが「堀木」という年上の遊び人です。

葉蔵は堀木と出会ったことで、非合法なものや禁止されているものに触れる機会が増え、煙草お酒に溺れ、やがて淫売婦と左翼思想にのめりこんでいきます。

そのせいか、葉蔵がかつて抱いていた恐怖がいくらか紛れていきました

 

しかし、遊び歩いていた為学校へ行ってないことが実家にバレてしまい、小遣いを減らされてしまいます。

小遣いで生きていた葉蔵は遊ぶことができなくなり、同じような苦しい想いをしていたカフェの女給の「ツネ子」と共に、鎌倉の海で入水自殺を試みますが、結局彼女だけが亡くなってしまい、葉蔵は一命を取り留めてしまいます。

 

巷ではその噂が絶えず広まり、その噂は葉蔵の父の耳にも入りました。

その後、父の知人である「ヒラメ」によって引き取られていきます。

 

 

解説:第2の手記

中学校では、理解者とも取れる「竹一」と親友になりますが、

 

 

 

第3の手記

高等学校を退学になった葉蔵は、ヒラメの家に居候していました。

今後の生活について言及された葉蔵は、ヒラメの家から逃げ出します。

 

ここで「シヅ子」という女性の家に転がり込みます。

シヅ子には娘がおり、葉蔵と娘と3人で暮らしていくことになります。

雑誌記者であるシヅ子のつてで、葉蔵は漫画家として働き始めますが、またもやお酒煙草に溺れていきます。

 

このままでは2人の幸せを邪魔してしまうのではないかと感じた葉蔵は、家を出てスタンドバーを経営するマダムの元へ転がり込みます。

そこで出会った人たちはこんな葉蔵にも優しく、これまでみたいな恐怖心は感じませんでした

 

それから1年の月日が流れ、煙草屋の娘である「ヨシ子」と親しくなり、結婚まで決めます。

ヨシ子と一緒に暮らし始めた葉蔵でしたが、ある日事件が起こります。

 

”人を疑う”ということを知らなかったヨシ子は、家に訪れた商人を名乗る男に犯されてしまいます。

それ以来、ヨシ子にあった純真無垢な心は失われてしまい、葉蔵の行動にも怯えてしまうのでした。

そのことが大きなショックだった葉蔵もまた、お酒に溺れていきます。

 

ある日葉蔵は、ヨシ子が購入していた大量の睡眠薬を見つけてしまいます。

その睡眠薬を飲み干し自殺を試みますが、結局死ぬことは叶わず目を覚ましてしまいます。

その後、麻薬に溺れた葉蔵は誰も手をつけられず、堀木とヒラメによって病院へ連れて行かれるのでした。

療養所に連れて行かれると思っていた葉蔵は、連れて行かれた場所が脳病院(精神異常者が入る施設)であることを知り、愕然とします。

他人から精神に異常があると思われるということは、”人間として失格”だ。

葉蔵はそこで自分が人間失格であると悟ります。

 

 

解説:第3の手記

シヅ子の家に転がり込んでからは、今までの怠惰な生活が抜けず、仕事もシヅ子のつてでもらうなど甘えていた部分がありました。

 

スタンドバーのマダムの所へ転がり込んでからは、周りの人たちの優しさに触れ、世間は自分が思っていたようなものではないと感じるようになりました。

 

ヨシ子と出会ってからは、今までのようにお酒と煙草に溺れて気持ちを誤魔化したり、自分と同じような人間を見つけることで安心したりすることがなくなり、人を疑って生きてきた自分とは正反対の彼女の純真無垢な心に惹かれ、心を通じ合わせたことで葉蔵自身少しずつ変わっていきました。

 

ヨシ子との出会いが、葉蔵の抱える他人や世間への恐怖を軽減していきました。

しかし、ヨシ子が襲われる事件を機に、葉蔵の心は再び閉ざされてしまいます。

 

他人への信用が絶望へ変わってしまった葉蔵はを選びますが、またもや生き延びてしまいます。

そして麻薬に逃げるも、脳病院に入れられそこで全てを理解します。

子供の頃から感じていた違和感が、確証へと変わりました。

やはり自分は他人とは違い狂人だったのだ。

自分が人間として失格だというのを痛感させられた瞬間だったのです。

 

 

物語のラスト

あとがきでは、スタンドバーのマダムが葉蔵について語っています。

葉蔵は自分の人生を振り返り、自分自身に「人間失格」という評価をします。

しかし、マダムは葉蔵についてそのようなことは言いませんでした。

 

自分と他人の違いに悩み、心は弱くそして脆いものであり、人を信じるということは難しい。

葉蔵は特別だったわけではなく、誰もが同じような悩みを抱えます。

葉蔵は本当に人間失格だったのでしょうか。

それを考えさせられる物語です。

 

 

 

タイトルの意味

葉蔵は幼い頃から他人の気持ちがわからず、そのことで長年悩み続け、苦しんできました。

結果、お酒や女、最終的には薬に溺れて再起不能となります。

最終的には精神に異常があると見られ、脳病院に連れて行かれました。

そして自分自身を省みて「人間失格」と評価しました。

 

つまりこのタイトルの『人間失格』は自分自身を省みて、客観視した時に他人から見れば自分は人間として失格なのだという評価を意味しています。

 

 

 

映画『人間失格〜太宰治と3人の女たち〜』

2019年9月13日公開の映画『人間失格〜太宰治と3人の女たち〜』が全国で公開されました。

蜷川実花監督の元、主演小栗旬でその他名俳優たちが出演しています。

「死ぬほどの恋。ヤバすぎる実話。」

天才作家、太宰治。

身重の妻・美知子と2人の子どもがいながら恋の噂が絶えず、自殺未遂を繰り返す。

その破天荒な生き方で文壇から疎まれているが、ベストセラーを連発して時のスターとなっていた。

太宰は、作家志望の静子の文才に惚れこんで激しく愛し合い、同時に未亡人の富栄にも救いを求めていく。

2人の愛人に子どもがほしいと言われるイカれた日々の中で、それでも夫の才能を信じる美知子に叱咤され、遂に自分にしか書けない「人間に失格した男」の物語に取りかかるのだが・・・。(公式サイトより引用)

 

衝撃の本予告がこちら↓

60秒バージョン

 

90秒バージョン(主題歌付き)

 

 

蜷川実花監督についての記事はこちら↓

日本のアーティスト知ってなきゃ損するかも?蜷川 実花

01/14/2019

 

 


太宰治:小栗旬


本名:津島修治

代表作に『逆行』『走れメロス』『ヴィヨンの妻』『斜陽』『人間失格』などがある。

 

 

正妻・津島美知子:宮沢りえ

太宰治の小説『ヴィヨンの妻』のモデルであり、太宰の正妻。

2人の子がおりながらも不倫を続ける太宰治を見捨てることなく付き添う。

彼の傑作であり遺作となる『人間失格』を書くキッカケを与える。

 

 

作家志望の愛人・太田静子:沢尻エリカ

太宰治の弟子であり愛人。

太宰治の小説『斜陽』のモデル。

太宰が『斜陽』を完成させるために欲しがる自身の日記を渡す交換条件として、太宰との子を授かる。

恋と革命のために生きた女性である。

 

 

太宰の最後の女・山崎富栄:二階堂ふみ

未亡人。太宰治の愛人で最後の女。

太宰に恋してからは、太宰がどんな状況でも側にいようとしていた。

メンヘラのような一面もある。

太宰が『人間失格』脱稿後、玉川上水で心中。

 

物語は太宰治とこの3人の女性たちによって展開していきます。

 

 


2010年にも生田斗真主演で映画『人間失格』が公開されていました。

こちらの映画は、小説の『人間失格』の実写となっています。

 

他にも『人間失格』は漫画でも出ているので、小説だと読みにくいという方にオススメです。

 

 

 

映画と小説の違い

映画『人間失格〜太宰治と3人の女たち〜』と小説『人間失格』は物語が異なります。

この違いは単に ”人間失格” をテーマに太宰治の人生を描いたのが映画『人間失格〜太宰治と3人の女たち〜』なのです。

この映画をまだ見ていない人は『人間失格』『ヴィヨンの妻』『斜陽』を読んでから見ると映画の物語がとてもわかりやすく、より一層楽しめると思います。

 

 

まとめ

太宰治の傑作にして遺作『人間失格』は人の心の奥底に触れるもので、色々なことに気づかされ、考えさせられる作品になっています。

 

まだ読んでない方もこれを機に読んでみてはいかがでしょうか。

読み終えた後に映画『人間失格〜太宰治と3人の女たち〜』を鑑賞してください。

 

きっと映画だけでなく物事の見方が大きく変わるのではないでしょうか。

 

 

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